先日の3人もの殺人事件では「ライン」と呼ばれる分刻みのスケジュールでコマネズミのように働いていた、そのような介護施設も少なくないといいます。今や老人ホームの実質人員配置は2:1以上つまり入居者2人に対して職員1人以上、例えば入居者50名なら職員25名以上居ることも多い、これは(ホスピスを除いて)病院の最も手厚い7:1以上です。にも関わらず、事件が起きます。
人員配置が手厚くても、介護職は国家免許の介護福祉士から無資格者まで、経験もベテランから初心者まで様々な能力さらに適性の人が居ます。不慣れな資質の低い人ばかりでは、結局業務はうまく回りません。業務が回らないから当然ストレスは高まります。ケアも行き届かないのでさらに業務が過密になる。悪循環が生じます。
その背景。特養が個室化していますが(そして民間有料ホームはもちろんほとんどが個室ですが)、ケアの効率は明らかに落ちます。さらに虐待の温床にすらなります。個室は密室であり目が届かないからです。プライバシー保護とうそぶきますが、プライバシーとは接する者の態度姿勢こそが実現するもので、壁のあるなしだけで確保できるわけではありません。ましてコストアップゆえに介護が必要な重度要介護者の受け入れ数が減るなど、ナンセンスです。
であれば、土建業者やその利害関係者を儲けさせる豪華個室特養にではなく、簡素でいいので少しでも多くの人を収容できケアの効率の良い、つまり大部屋の施設整備、そして介護職そのものの確保と待遇に金をかけるべきではないのでしょうか。
また関係ない異業種から参入して、上の方の汗も知恵も流さない人間現場の介護職を働かせて利を得ることに、法規制といわずとも一層の加算減算で政策誘導し規制をかけるべきです。すなわち収入のうち職員給与に振り向けた割合により加算減算する等により、給与性向を高めるべきです。
本来介護は人の手でケアすることで報酬を得るのですから、介護職、人は「原材料、原価」であり、ここに金をかけ投資しなければ良い「商品=ケア」ができるはずがありません。志して新規参入するなら、管理部門・業務に人や金をかけないコンパクトな管理部門として、現場介護職に十分な支出配分ができるようにすべきです。
さらに介護をより深刻にするものが、重度要介護者と認知症患者です。タダ同然のバラマキになっている老人医療制度ゆえに「なんとなくなし崩し的に」盲目的延命が蔓延していることが、近年の調査で明確になっています。健康保険は本来、治癒して社会家庭に復帰するための支えあい制度です。もちろん財源には限りがあります。であれば治る見込みがない場合、健康保険での延命医療は給付しないことにすることも早急に検討するべきです。
筆者の試算では、胃ろうで寝たきりの人一人の月の医療介護費用は少なく見積もって30万円、胃ろう患者は全国で少なくとも30万人、年にざっくり2兆円以上の費用が必要です。実際の個人、家族の負担も、公的特養でも月十数万、民間ホームなら月30万前後は必要です。そもそも家族が面倒見たくない見れないのに延命して何がどうなるのか、きちんと市民は考えるべき・考えさせるべきです。
記事の最後にはIoTが切り札かのように書かれています。ここではカメラやセンサーと連動して離床などの把握に活用しているようです。それだけで走り回って一々確認する労力は確かに多少なり減ります。別記事ではAIでバイタルセンサーを監視し、不穏の「兆候」を知らせるシステムも開発されています。しかし中小事業者は導入活用が困難な場合も多いでしょうし、結局は介護は人材労働集積型産業、手を出してなんぼ、多少効率化はできても、最後は人の手をかけることになります。
さらに医療、病院では出来の悪い電子カルテのためにその操作にかえって時間を取られた現場も見ています。IoTを妄信して、そんなナンセンスにならないようであって欲しいものです。
その昔武田信玄は「人は石垣、人は城」と人材の大切さを説きましたが、看護や介護、ケアこそまさにこの言葉を座右に置くべきです。IoTはあくまでも人を助ける道具に過ぎません。良い人材を集め長く定着して働いてもらうためには、何よりその待遇、給与、そして労働環境整備それは職員が定着し業務に慣熟し和気あいあいと楽しく仕事できること。その源はとにかく給与。経営者管理職の見識が問われるところと想います。
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食堂に3時間放置、朝3時に着替えの介護現場 「対策は職員のストレスケア」という厚労省のピンぼけっぷり http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/112000132/
https://www.facebook.com/nikkeibusiness/posts/1507704899277786
患者の不穏な動きをAIで予見、NECと日立が新サービス:ITpro http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/14/346926/110101185/
人生の最終段階における医療に関する意識調査 報告書
平成26年3月 終末期医療に関する意識調査等検討会
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryou/zaitaku/dl/h260425-02.pdf
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