2020年06月01日

次亜塩素酸水は効果不確実、医療用には不適

 新型コロナ騒ぎでアルコールや一部でハイター(次亜塩素酸ナトリウム)その他消毒薬までも不足し、代わりに安くはない次亜塩素酸生成装置が販売されたり、次亜塩素酸水を自治体が配布したりしています。しかしその消毒効果は現在のところ証明されておらず、政府機関である製品評価技術基盤機構(NITE)から注意喚起が出されました。
 次亜塩素酸水は食品添加物、野菜などを加工する際の洗浄除菌に用いることが認められているものの、新型コロナウイルスその他の除菌除ウイルスのため消毒薬として利用することは除菌除ウイルス効果が不確実なため、特に医療機関や福祉施設、飲食店等の衛生関連施設では害は無くとも止めた方が良いと考えられます。

 次亜塩素酸HCLOはハイターすなわち次亜塩素酸ナトリウムNaClOと名前こそ良く似ていますが、性質はかなり異なります。消毒効果を発揮する成分こそ同じく塩素イオンと分解過程で発生する活性酸素ですが、ナトリウムの有無でpHと安定性が全く変わります。ハイターは水酸化ナトリウムが生じるため強アルカリ性で安定し、言い換えると分解速度が遅く消毒効果が確実に継続し、かつ保存性が高くなります。
 ところが次亜塩素酸水は不安定かつ分解によりpH変化し、有効塩素量も低下してしまいます。そもそも「次亜塩素酸水」と称する時点で塩素濃度200ppm以下、水道数の50〜100倍程度と「薄い」ので、分解するとすぐに「ただの水も同然」になってしまうことになります。それ以前の問題として、医療用途での除菌除ウイルスには500〜1000ppmつまり0.05%〜0.1%の塩素濃度が要求されているので、「そもそも元々濃度が足らない」ことになります。

 需要と供給の関係はあるとはいえ、冷静に考えればコストがかかるだけで効果に乏しい次亜塩素酸水を、行政が血税を投じてまで配布する意義は全く無いと考えられます。さらに問題としてその次亜塩素酸水を求める人が集まり「三密」になれば逆に縦断感染クラスター発生のリスクを発生させてしまいます。もし行政が消毒について対策するなら、既に北里大学と上記NITEが発表している、家庭用洗剤等の効果を普及啓もうすることであり、さらには消毒薬の適正供給流通のための施策、特措法整備であるべきです。


次亜塩素酸水は「現時点で有効性は確認されてない」NITEが公表 https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5ed1f4b6c5b6e88c7a28f611

https://www.facebook.com/HuffPostJapan/posts/1654366311384511

ハーバー・ビジネス・オンライン 「第3の消毒薬」として注目を集める次亜塩素酸を、化学者が両手を挙げて容認できないワケ
https://hbol.jp/219609 @hboljp

厚労省資料(食品洗浄用途)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002wy32-att/2r9852000002wybg.pd

サラヤ 次亜塩素酸ナトリウム液
https://pro.saraya.com/sanitation/guide/info/info12.html

次亜塩素酸ナトリウムの作用機序
https://www.tacmina.co.jp/library/coretech/280/

北里研究所 医薬部外品および雑貨の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)不活化効果について
https://www.kitasato.ac.jp/jp/news/20200417-03.html
posted by 実践研究員その一 at 14:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 感染対策
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/187551754
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック