2021年11月08日

看護な視点の研究開発

 看護師目線、ケア視点な製品開発と研究成果がありました。

1.入浴は末期がん患者の苦痛を緩和する!

 風呂に入るとリラックスするとは昔から言われるところですが、横浜市立大医学部看護学科の林氏らは末期がん患者でも有意に効果が見られることを明らかにしました。

 57人の末期がん患者が入浴し42人から入浴日・しない日の比較データを得られ分析したところ、ESAS-r-J(痛み、倦怠感、吐き気、抑うつ等の苦痛症状スケール)について、入浴前の16.6±16.5から入浴後に12.4±13.6へと有意に改善。特に倦怠感の改善は24人42%で見られ、不安、食欲、痛み、抑うつ等も有意な改善が見られたとしています。

 そういえば筆者がごく一時期居たとある総合病院では、緩和ケア認定看護師研修にも職員を参加させていましたが、あるまだ60代のがん患者さんが「痛がるから」とシーツ交換してもらえずシーツが一か月近く放置され真っ黒。そもそもシーツ交換は助手さんに丸投げ。新入職の新卒ナースが半泣きで「シーツがぁ。。。」と言ってきたので、これはもう捨て置けないと想い、本人にちょっと我慢してと声掛け、さっとシーツ交換したことがありました。清潔はナイチンゲール以来の看護の基礎の基礎、それすらできていない「やらない」にも拘わらず7:1看護でした。シーツは白くなりましたが本人がまだ真っ黒。風呂に入れてあげたいなと想ったのを思い出します。

 高齢者の腰痛関節痛など慢性疼痛には日常的にホットパックや赤外線その他温熱療法が行われます。その点で同じく慢性疼痛である癌性疼痛も温熱効果をもたらす入浴が鎮痛その他症状緩和に寄与することは理解し易いと想います。

 旧来、身体的負担になるので病人は入浴を控えよ、と言われてきましたが、高齢者介護での入浴でも、多少の発熱や不調でも入浴したいと言う方は多く見かけます。本人の意欲があるなら体力症状に応じた適切な方法での入浴は、多少の疲労があるとしてもそれを超える苦痛緩和、症状緩和になると言えそうです。

* * *

2.術後乳幼児が嫌がらない酸素マスク固定具

 術後の乳幼児が嫌がって酸素マスクを外してしまう。つけて外しての繰り返し。そんな中から、ゴムで耳に固定せず、腹巻で酸素マスクをうまく支えて圧迫感少なく動いてもおよそ口元にマスクがくる、そんなグッズを関西医科大学のチームが開発しました。
 乳幼児向けとなっていますが、少しの工夫で8y79、術後せん妄状態の人や特に認知症の人にも応用できそうです。

 注目すべきは関西医科大学が現場のニーズと企業、製品開発への橋渡しの場「医療ニーズ発表会」を設けていることです。筆者はかつて、大学での研究開発技術を企業にライセンスし製品化するTLO(技術移転機関)を目指すベンチャーの役員として先端技術シーズ探索に携わりましたが、TLOは特許化が前提でありやや敷居が高くなります。ざっくばらんに現場ニーズ、アイデアを技術、企業とリンクできる場は秀逸です。

 そういえば筆者が一番最初に看護助手となった横浜市南西部の国道際の当時最新の病院では、看護部主催の「看護の工夫展」が毎年開催されていました。

 臨床医療者ケア者が、日常業務で感じる不便やその解決アイデアを流してしまわないこと、それを組織が汲み上げて技術とリンクしていくことが、特に看護、ケアの発展のためには重要です。

* * *

 筆者の学生時代、基礎看護の先生だったかが「リヒカ。なんとか(看護用品)。ナイチンゲール時代からほとんど進歩が無い」とふと言ったのを思い出します。医師がCT、MRI、手術ロボと次々に自らの必要とするものを企業や技術者とともに開発するのとは対照的に、旧態依然としたままです。
 看護職、ケア者は自らのケアと業務を自ら研究し技術開発する意欲を持ちたいものです。


術後乳幼児に安定的に酸素供給 医療現場の声から生まれた「O2腹巻」 | 日本の研究.com
https://research-er.jp/articles/view/104493

「湯につかる入浴」が終末期がん患者の苦痛を緩和
https://project.nikkeibp.co.jp/behealth/atcl/news/domestic/00116/
posted by 実践研究員その一 at 09:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究
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