2022年03月22日

「アゴラ」投稿掲載「働き方改革と二地域居住の可能性を考える 」

 池田信夫氏主宰の言論サイト「アゴラ」に、当研究室代表の標記投稿が掲載されております。

 医療、介護現場では看護職や介護職の慢性的不足が言われています。また医師も都市部偏在が問題視されています。一方で「働き方改革」も言われています。

 筆者は8年ほど前に、神奈川と外房を行き返りしての「二地域居住、出稼ぎ介護施設長経験」をしています。
 特に施設管理者は専従要件等の問題がありますが、自治体の裁量あるいは法改正により規制緩和することで、都市部と地方で人材交流が起こり、人材確保と働き方改革の一石二鳥ができるかも知れません。

働き方改革と二地域居住の可能性を考える
https://agora-web.jp/archives/2055162.html
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2017年11月22日

「パンクしはじける介護現場をIoTは救えるか」

 次々に明るみに出る、「はじけた」としか言いようがない介護殺人・虐待事件。やってもやってもきりがない過酷な業務がその背景には見えます。では何がこの現状を解決できるのでしょうか。

 先日の3人もの殺人事件では「ライン」と呼ばれる分刻みのスケジュールでコマネズミのように働いていた、そのような介護施設も少なくないといいます。今や老人ホームの実質人員配置は2:1以上つまり入居者2人に対して職員1人以上、例えば入居者50名なら職員25名以上居ることも多い、これは(ホスピスを除いて)病院の最も手厚い7:1以上です。にも関わらず、事件が起きます。
 人員配置が手厚くても、介護職は国家免許の介護福祉士から無資格者まで、経験もベテランから初心者まで様々な能力さらに適性の人が居ます。不慣れな資質の低い人ばかりでは、結局業務はうまく回りません。業務が回らないから当然ストレスは高まります。ケアも行き届かないのでさらに業務が過密になる。悪循環が生じます。

 その背景。特養が個室化していますが(そして民間有料ホームはもちろんほとんどが個室ですが)、ケアの効率は明らかに落ちます。さらに虐待の温床にすらなります。個室は密室であり目が届かないからです。プライバシー保護とうそぶきますが、プライバシーとは接する者の態度姿勢こそが実現するもので、壁のあるなしだけで確保できるわけではありません。ましてコストアップゆえに介護が必要な重度要介護者の受け入れ数が減るなど、ナンセンスです。
 であれば、土建業者やその利害関係者を儲けさせる豪華個室特養にではなく、簡素でいいので少しでも多くの人を収容できケアの効率の良い、つまり大部屋の施設整備、そして介護職そのものの確保と待遇に金をかけるべきではないのでしょうか。

 また関係ない異業種から参入して、上の方の汗も知恵も流さない人間現場の介護職を働かせて利を得ることに、法規制といわずとも一層の加算減算で政策誘導し規制をかけるべきです。すなわち収入のうち職員給与に振り向けた割合により加算減算する等により、給与性向を高めるべきです。
 本来介護は人の手でケアすることで報酬を得るのですから、介護職、人は「原材料、原価」であり、ここに金をかけ投資しなければ良い「商品=ケア」ができるはずがありません。志して新規参入するなら、管理部門・業務に人や金をかけないコンパクトな管理部門として、現場介護職に十分な支出配分ができるようにすべきです。

 さらに介護をより深刻にするものが、重度要介護者と認知症患者です。タダ同然のバラマキになっている老人医療制度ゆえに「なんとなくなし崩し的に」盲目的延命が蔓延していることが、近年の調査で明確になっています。健康保険は本来、治癒して社会家庭に復帰するための支えあい制度です。もちろん財源には限りがあります。であれば治る見込みがない場合、健康保険での延命医療は給付しないことにすることも早急に検討するべきです。
 筆者の試算では、胃ろうで寝たきりの人一人の月の医療介護費用は少なく見積もって30万円、胃ろう患者は全国で少なくとも30万人、年にざっくり2兆円以上の費用が必要です。実際の個人、家族の負担も、公的特養でも月十数万、民間ホームなら月30万前後は必要です。そもそも家族が面倒見たくない見れないのに延命して何がどうなるのか、きちんと市民は考えるべき・考えさせるべきです。

 記事の最後にはIoTが切り札かのように書かれています。ここではカメラやセンサーと連動して離床などの把握に活用しているようです。それだけで走り回って一々確認する労力は確かに多少なり減ります。別記事ではAIでバイタルセンサーを監視し、不穏の「兆候」を知らせるシステムも開発されています。しかし中小事業者は導入活用が困難な場合も多いでしょうし、結局は介護は人材労働集積型産業、手を出してなんぼ、多少効率化はできても、最後は人の手をかけることになります。
 さらに医療、病院では出来の悪い電子カルテのためにその操作にかえって時間を取られた現場も見ています。IoTを妄信して、そんなナンセンスにならないようであって欲しいものです。

 その昔武田信玄は「人は石垣、人は城」と人材の大切さを説きましたが、看護や介護、ケアこそまさにこの言葉を座右に置くべきです。IoTはあくまでも人を助ける道具に過ぎません。良い人材を集め長く定着して働いてもらうためには、何よりその待遇、給与、そして労働環境整備それは職員が定着し業務に慣熟し和気あいあいと楽しく仕事できること。その源はとにかく給与。経営者管理職の見識が問われるところと想います。

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食堂に3時間放置、朝3時に着替えの介護現場 「対策は職員のストレスケア」という厚労省のピンぼけっぷり http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/112000132/

Facebook
https://www.facebook.com/nikkeibusiness/posts/1507704899277786

患者の不穏な動きをAIで予見、NECと日立が新サービス:ITpro http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/14/346926/110101185/

人生の最終段階における医療に関する意識調査 報告書
平成26年3月 終末期医療に関する意識調査等検討会
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryou/zaitaku/dl/h260425-02.pdf
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2017年11月12日

シフト勤務の健康への悪影響と回避方法〜看護管理も科学であるべき

 看護師や介護職のように交代勤務いわゆるシフト勤務者について、特に夜勤が健康に悪影響を与えることは以前から知られていました。これについて、悪影響を回避軽減できる方法が科学的に明らかにされました。
 具体的には、同じ勤務帯の日数を多くまとめ、次の勤務帯への移行は出勤時間が遅れる勤務帯とする、ことが影響軽減に役立つことが示されています。つまり、日勤シフトの次は(準)夜勤シフトにする、同じシフトは数日続ける、ということです。これにより体内時計の調整が可能となり、影響を軽減できると考えられています。これは時差ぼけが東周りの方が西回りよりきついこととも関連します。
 夜勤専従看護師を置いたり、「夜勤専従期間」を設ける施設もありますが、夜勤者確保が難しいためという理由でのことが多いようですが、科学的にも意義があることになります。またやはり三交代よりは二交代の方が、体内時計への影響は回避軽減し易いとも言えます。体内時計の存在は既にかなり広く知られており、強力なライトによる光療法が一部で行われたり、シフト切り替え時にできるだけ休みを入れる配慮をする等されていましたが、明確な根拠が示されたことになります。

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 さて、看護管理という言葉があります。看護職それもある程度年数を積んだ・管理職志向でなければ知らない人の方が多いと想いますが、文字通り看護の管理、正確には看護の質的管理ではなく「看護業務体制管理」を言います。我が国では日本看護協会がファースト(概ね主任)、セカンド(概ね師長)、サード(概ね看護部長)の3レベルの研修カリキュラムを「認定看護管理者」として定め、都道府県看護協会等が研修を実施しています。

 しかし問題はその内容です。改めてカリキュラムを確認しましたが、労務管理、関連法規、対人関係論・組織論ばかりで、それらの根拠となる生理学や心理学、科学的基礎が全くありません。では看護教育段階でそれがあるかといえば、よほど教養課程が充実している看護大でもなければ、それもまた疑問です。いまだ看護教育の場の大半は専門学校ですから、看護師の多くの基礎科学教養は、一般大卒者以下ということが多々ありえるということです。

 つまり現在の看護管理の状況は、科学的根拠に基づかない、経験論さらには精神論的な域をいまだ脱していないことになります。筆者が学生時代「ナースは兵卒、師長は鬼軍曹」という比喩を見かけましたが、下手すると戦前の軍隊のような知的レベルのままかも知れないということになります。様々な業界で過労死や自殺が問題になっていますから、看護だけが特別とは言えません。しかし本来的に人の命を護るべき、そして医学あるいは看護学という科学に立脚するべき医療、看護の上に立つものが、「どうしたらスタッフの命を護れるか」「どうしたらより意欲的にストレス少なくスタッフに仕事してもらえるか」を明確な裏付け無しに指示指導しているというのは、はなはだ疑問を感じます。

 筆者が初めて訪問看護ステーション所長として看護管理者となったとき、私を引き立てて下さった方が「上司の哲学(江口克彦、PHP研究所)」という本を手引きとして頂きました。松下幸之助の組織管理に関する語録ですが、つい先年(読了していませんが)読んだ米海軍で使われているという「リーダーシップ―アメリカ海軍士官候補生読本(米海軍協会、生産性出版)」と比して、「上司の哲学」は非常にエモーショナルであり、「リーダーシップ」は非常に論理的であることに気づきました。どちらも重要と想いますが「根拠の無い経験論」で良いのか。我が国の看護管理者は、ぜひ一考して欲しいように感じます。

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頻繁な明暗シフト環境への長期暴露は慢性炎症を誘導 〜概日リズム障害を起こす環境条件に関する研究〜 | 日本の研究.com https://research-er.jp/articles/view/64110

(Facebook)
https://www.facebook.com/researcherjp/posts/1637611439602942

認定看護管理者カリキュラム基準
http://nintei.nurse.or.jp/nursing/qualification/educ_inst_approval_cna
posted by 実践研究員その一 at 14:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 労務・マネジメント