2021年09月20日

看護師に蔓延する重い感染症

 筆者が学生時代の90年代から、看護師の間に蔓延するある重い感染症が知られていました。その感染症罹患すると、効果的な治療薬は無いというのです。そんなバカなと想いながらも、内心、感染しないよう恐れていました。

 そうです「玉ねぎ症候群」と呼ばれる感染症です。

 このほど2021年10月から、コメディカル各職種に大幅な範囲の医療行為実施が認められます。医療の高度化と人手不足に対応するというのが名目ですが。。。看護師の業務に重なるものが多々あります。そこからが問題です。

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 訪問看護ステーションは制度化当時から在宅でのリハビリテーション機能を期待され、そのためリハビリ専門職が配置できることになっていました。これはリハビリ専門職がリハビリをするのではなく、リハビリ専門職がアセスメントとプランニングを行い、看護師が日常的ケアの中でリハビリん専門職と協働して「生活リハビリ」を展開する、という意図だったと理解しています。

 ところが。「リハビリなんか看護師の私の仕事じゃない」という声が。。。

 しかしです。実はリハビリテーションは、看護から派生し専門分化、資格化されたものなのです。
 元々リハビリはナイチンゲールがクリミアの戦地で近代看護を創始した後、負傷し特に手足や視力聴力などを失った傷痍軍人に対し、社会復帰を援ける必要性が生じたために発生したと言われています。当然ながら当時リハビリ専門職など存在せず、看護職がリハビリを担いました。筆者が読んだリハビリテーション看護の教科書の見開きには、ナイチンゲール女史のような服装の看護婦が機能訓練を行っている絵が載っていました。リハビリは、看護だったのです。
 ところがリハビリが専門化したこともあるとはいえ、看護師は「それは私の仕事じゃない」と「リハビリを放棄」してしまいました。

「介護覚書」なる「看護覚書」をもじりつつも痛烈に看護師の現状を批判しつつ、「リハビリは生活の中で自然に生活をしながらこそするべきだ」と「生活リハビリ」を三好春樹氏は提唱しています。既に問題になっているように、リハビリ制限もあり、短時間の週数回のリハビリでは、効果は期待できません。日々の生活の中で自然に少しずつリハビリしていくこと、それは看護の中でこそ実現もできることのはずなのですが。

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 筆者があるとき短期間在職した神奈川で一番新しい政令市のJAXAにも近いとある総合病院では、7:1看護にも関わらず、看護師がベッドサイドにほとんど居ない。電子カルテにかかりっきり。シーツ交換などはすべて看護助手さんに任せきり。そんな病院に新卒者が10名近く入職しました。学生実習さながらに熱心にベッドサイドに付く彼女たちはまさに白衣の天使。

 ところがある日。ガン末期のまだ初老の男性。とにかく痛くて動けない。オピオイドが足りなかったのです。「痛がって動かないから」となんと1か月近くシーツ交換せず、真っ黒。新人さんが私に耐えかねて「シーツがあ。。。」と涙ながらに訴える。シーツ交換は助手さんの仕事ですが、、、「わかった、私がやる」できるだけ、そーっと、そーっと。なんとか奇麗なシーツに替えることができましたが。。。

 ナイチンゲールがクリミアで最初にしたことは「窓を開けて換気し、掃除をしシーツを清潔なものに替え、温かいスープを作って食べさせること」だったと伝えられています。ナイチンゲール看護論もそのように構成されていますね。ところが、それを放棄していた看護職たちでした。


「玉ねぎ症候群」とは、玉ねぎをむいていくと、最後は無くなってしまう、「それは自分の仕事じゃない」と転嫁していくと、最後に「あれっ、私のする看護はどこにあるのー!?」になりかねない。。。気が付いたら存在が消滅してしまう、しかも誰かに影響され感染していくことすらある、世にも恐ろしい感染症です。皆さんご注意ください。なお、手洗い等の標準予防策スタンダードプリコーションは、無効です。


医師業務の分担
http://yoshimurayasunori.jp/blogs/%E5%8C%BB%E5%B8%AB%E6%A5%AD%E5%8B%99%E3%81%AE%E5%88%86%E6%8B%85/

https://www.facebook.com/YoshimuraYasunoriLab/posts/4634593173231979
posted by 実践研究員その一 at 11:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究

2021年06月20日

新型コロナ集団接種を機に・アップデートされる筋肉注射部位

 新型コロナワクチンの集団接種が開始され、これまでに無かった多数の筋肉注射が実施されることとなりました。それに際しプライマリケア連合学会では筋肉注射部位を解剖学的知見に基づきアップデートしています。

 特に我が国日本のワクチンのほぼ全ては(子宮頸がんワクチン以外)皮下注射となっています。これはかつてワクチン禍すなわちワクチン注射後の麻痺等が発生し、国を被告とした裁判で国の責任が問われた(最近判決が確定)ことや、免疫反応をより効果的に起こすため等の理由があるようです。
 一般的な医療の現場では静脈留置針が普及したこともあり、筋肉注射での薬剤投与の機会は大分少なくなっているのではと想います。しかしご存じのように筋肉注射は深く穿刺するため神経損傷のリスクがあります。

 プライマリケア連合学会ではこれまでの「肩峰から三横指下」ではなく、「前腋下線と後腋下線を結んだ線に肩峰からの垂線の交わる部位」を推奨しており、これまでの部位より数cm下になります。これにより腋下神経と後上腕回線動脈を確実に避けることができるようです。また従来の部位だと三角筋下滑液包つまり肩関節内に注射してしまうリスクがあるようです。もちろん体格には個人差がありますが、「従来の肩峰から三横指下より少し下」がより安全で望ましい、と考えて良いと想います。

 ただしこの部位にも問題があります。新型コロナワクチン接種対象者となる高齢者の場合、フレイルと言わずとも痩せている・筋肉が少ない方が多く居ます。この場合、動画等のように25mmの筋注針を根元まで垂直に穿刺すると、筋肉を突き抜け骨に当たる可能性が少なくありません。そのため対象者の皮下脂肪と筋肉の厚みを見計らい穿刺する必要があります。
 筆者は充分な腕の太さが無い場合はやや斜めに穿刺することで、筋層が薄くても細かな穿刺深度のコントロールができるようにしています。特にコツンという感触があれば骨に当たっているので数mm針を引き戻してください。またビリビリ、ビリッという電撃痛がないか確認し、電撃痛があれば迷わず場所をずらして穿刺し直すべきです。


『新型コロナワクチン より安全な新しい筋注の方法 ダイジェスト版』日本プライマリ・ケア連合学会ワクチンチーム 製作・監修
https://www.youtube.com/watch?v=TwoMs0BjIdk

穿刺部位
https://youtu.be/TwoMs0BjIdk?t=105

奈良県立医科大学臨床研修センター 研修医用 筋肉注射手技マニュアルv1.7
https://www.nmu-resident.jp/info/files/intramuscular17.pdf

筋肉注射マニュアル(v1.7)・筋肉注射手技に関する論文を公開しました。
https://www.nmu-resident.jp/intramuscular.html
posted by 実践研究員その一 at 11:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究

2018年02月23日

事業所様向け認知症ケアセミナー

BPSD20180219.jpgBPSD20180219b.jpgBPSD20180219c.jpgBPSD20180219d.jpgBPSD20180219e.jpgBPSD20180219f.jpgBPSD20180219g.jpgBPSD20180219h.jpg2018.2.19藤沢にて、介護施設職員様を対象とした認知症ケアのセミナーの講師を務めました。
 今回は特に対応に苦慮するBPSD行動心理症状を中心にとのリクエストを頂き、基本的事項の理解を含めつつも、BPSDへの対応のポイント、さらには「なじみの関係」をキーワードとする「心構え」についてお話しました。

 認知症ケアが言われて久しくなりましたが、受講者に問いかけると「なじみの関係」という言葉は誰も知りませんでした。バリデーションやらユマニチュードやらの横文字ハウツー的なものに押されて、「一番の基本」が忘れられているとしたら、、、と懸念しつつも、それも想定して・認知症ケア初心者でも理解できるよう、基本的概念や注意点から導入しました。

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認知症の人の顔
認知症の症状は認知症の症状に非ず!?
世間の認知症への理解
認知症=認知の障害ではない!?
認知症の医学的定義
治る認知症がある!?
主な認知症の原因と脳の変化
認知症の本質「記憶の障害」
「ボケても感情とプライドは残る」
認知症の症状の構造
中核症状からBPSDへの理解
実際の症状〜混沌を見極める
やってはいけないダメケア
心理症状への対応のポイント
行動症状への対応のポイント
ケアだけでは難しい症状
抗認知症薬と治療、使い分け
長谷川式スケールの落とし穴
薬よりケアが効く!〜グループホーム
ボケても安心して楽しく暮らせる街へ
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・認知症の症状は「土台」の中核症状から「枝葉」の行動心理症状が派生する
・中核症状は治せないが、BPSDは「出なくできる」それが認知症ケア!
・ボケても感情とプライドは残る。ケア者が「安心できるなじみの関係」になることが大切。
・「いわゆる認知症の症状」行動症状は「原因」を知ればケアできる!
・ケアを困難にする「脳の暴走」には薬を適切に使うことも考える
・適切なケアがあれば認知症でも楽しく笑って暮らすこともできる!

 このようなメッセージを含めて、実際の経験事例も含めてお話しました。

 世の中の介護虐待遺棄殺人事件は毎月どこかで報道されていますが、良く調べるとほとんどの被害者は認知症の方です。そして介護施設でまで虐待殺人事件が起こるほどになっています。
 認知症ケアはとにかく「見守り」が基本。そして「忘れる病気」ゆえに様々な症状が出る、それを理解し「自分がまずおおらかな気持ちで」ケアすること。そのためにこそ正しい知識と理解が必要です。

 私がグループホームの統括施設長を務めたときの、ニコニコして時に冗談まで言う「ボケ老人」が楽しく穏やかに安心して暮らせる、そんな場所が、日本中にどの街にもできたらいいなと願います。
posted by 実践研究員その一 at 20:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育研究