2024年09月05日

アゴラ掲載「エセホスピス:超高齢化社会の盲目的延命国家に湧いた悪い虫を駆除せよ」


最近次々暴露される、「ホスピスホーム」の不正とボッタクリ。
血税と保険料に対する泥棒、詐欺同然であり、医とケアの倫理を踏みにじる俗悪です。決して許してはなりません。

もしそのような事業所に心ならずも所属していたら、退職しこれ以上悪事に加担しないことを衷心よりお勧めします。利用者が困るから、と続けることが悪徳業者をのさばらせることになります、立ち去り型サボタージュで倒すしかありません。

介護保険事業はコムスンのヘルパーステーションをはじめ複数の有料老人ホームチェーン等、不正からの買収、再生が度々でした。残念ながら、これらもその道をたどるしかないようです。

エセホスピス:超高齢化社会の盲目的延命国家に湧いた悪い虫を駆除せよ
https://agora-web.jp/archives/240903213834.html
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2024年08月18日

便秘は認知症のもと、認知症は便秘のもと

高齢者の6割は便秘と言われます。認知症の方のBPSD(行動心理症状)がときに便秘により誘発されることは知られていますが、逆に便秘が認知症のリスクになることもあるようだと分かってきました。

浜松医科大学臨床看護学講座の内藤智義助教らは、介護施設に入所する認知症高齢者を対象に、排便習慣の確立と排便を促進する効果的な排便姿勢をケアした群と、水分・食事摂取や下剤管理など一般的な便秘ケアした群を比較しました。その結果、排便習慣の確立(適切な排便時間と間隔でトイレ誘導)と排便を促進する効果的な排便姿勢(足底を床につけた前傾姿勢)が便秘解消に有効と、世界で初めて実証しました。さらに加えて、認知症高齢者の生活の質および精神状態が改善し、さらに介護者の負担感も軽減することを明らかにし、米国消化器病学会誌「The American Journal of Gastroenterology」に3/2付で発表しました。

30例(介入群14、対照群16)の参加者が解析され、残便感のない自発的排便の週あたりの平均回数は、介入群では 0.53 回から8週間で1.58回と有意に増加し、対照群では 0.56回〜0.43回とほとんど変わりませんでした。便秘患者の生活の質、認知症のBPSDと介護者の負担感は、8週間の排便ケア介入後に対照群と比較し有意な改善を示しました。

つまり、トイレ誘導し寝たまま失禁させずきちんと排便させることで、便秘を解消し、BPSDまで改善し得るということになります。

* * *

東北大学加齢医学研究所の中瀬泰然氏らは、アルツハイマー病または軽度認知障害(MCI)と診断され便秘の人と、便秘ではない人とで認知機能の低下速度に差があるかどうかを比較、便秘は認知機能低下を助長することを示しました。

研究はアルツハイマー病またはMCIと診断された患者84人(平均年齢77.4歳、男性が36人)を便秘あり(20人)と便秘なし(64人)の二群に分けて解析しました。アルツハイマー病と診断された38人(45.2%)は、全員が認知症治療薬が処方され、便秘患者20人のうち13人(65.0%)は下剤または整腸剤が処方されていました

MMSE、ADAS-Cogのスコアと、海馬および大脳深部の白質病変(DWML)の体積の変化の程度を便秘あり患者と便秘なし患者の間で間隔を開けて二回評価したところ、MMSEのスコアは両群ともに2回目の測定の結果が初回から変化しておらず、経時的な低下傾向は見られませんでした。ADAS-Cogのスコアには経時的な上昇が認められ、便秘あり患者が1年あたり2.3544ポイント、便秘なし患者では0.8592ポイントの上昇を示し、便秘あり群では便秘なし群に比べ認知機能の低下が2.7倍速いと示唆されました。MRI画像による海馬の体積の年間減少量には差は無い一方、DWMLの年間変化は、便秘あり群が24.48mL、便秘なし群は14.83mLで、便秘あり群ではDWMLの増大が1.65倍速く生じていました。

つまり、便秘だと大脳白質変化が加速され、認知機能低下も加速されることになります。

* * *

腸脳関連として、腸内細菌叢やその産生物質が迷走神経経由等により脳に達し影響していることが、近年知られてきています。便秘の場合いわゆる悪玉菌が優勢になり、アンモニア、硫化水素、インドール等の有害物質を産生します。これらが脳にも影響しているのかも知れません。

認知症患者の場合、徘徊や弄便などの厄介なBPSDが便秘やトイレが分からないことと関連していることが知られています。認知症だから尿便意を訴えないからとオムツに失禁させるのではなく、丁寧な観察で行動パターンを読み、適切にトイレ誘導し快適に排泄排便してもらうことが状態改善につながることが、エビデンスとして示されました。

認知症の方は身体機能は比較的末期まで保たれます。そのことを本人とケア者そして家族、皆のメリットとするために、ぜひトイレ誘導に注力して欲しいところです。


認知症高齢者の慢性便秘が排便習慣の確立(Bowel training)と 排便を促進する効果的な排便姿勢により改善することを実証 | 日本の研究.com https://research-er.jp/articles/view/120631

便秘がある高齢者は認知機能の低下が速い https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00283/012600176/
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2024年08月11日

BMI(Brain Machine Interface)実用化近づく

 BMI(Brain Machine Interface)は「考えるだけで機器を操作できる」システムで、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経難病や頚髄損傷など重度の運動機能障害者、だけでなく一般社会でも様々な機器のコントロールに応用できると期待されます。しかし筆者も90年代から構想し先端研究者と接する機会もありましたが、あまりに時期尚早でした。

 その後もBMIは各国で研究開発が進められていましたが、イーロン・マスク氏のニューラリンク社は、「考えるだけでコンピュータゲームできる」ことを実現したようです。そのシステムは体内埋め込み型いわゆるインプラントで、1024個の電極とコイン大の本体を頭蓋内に埋め込むものです。

 BMIはヘルメット状ないしはヘッドギア状の装置を頭に装着し、赤外線を利用し脳血流を測定するNIRS(光トポグラフィ)が脳科学分野でかなり発展していますが、体を傷つけない代わりに細かな機器制御までは難しいのが問題です。一方インプラントは脳の電気的活動を直接センスできます。

 コンピュータゲームができれば、もちろんWindowsやMacを操作することもできるはずです。入力方法やUI(ユーザーインターフェース、アイコンやボタンなど操作システム)をBMIで使いやすいように工夫すれば、日常生活で義手や電動車いすの操作からリモコン操作、さらにリモートワークまで、実現できる可能性が高まります。

 筆者と当研究室の前身である高速推進研究室は、90年代にアップルコンピュータ社や地域プロバイダ各社の支援を得て、神経難病患者や関係者のためのメーリングリストを日本で初めて開設しました。当時はスイッチ程度のインターフェイスしかない時代でしたが、それらを駆使して、人工呼吸器を着けて手足がマヒした患者さんたちが幾人も、当たり前のようにメールで皆とやり取りしていました。

 文字となった思考はもはや難病も障害も感じることはなく、知性、人格の本質はその言語化された思考であると、実感したのを思い出します。

 技術よりむしろ大きな問題は、その市場性、採算性です。筆者は「目で打つパソコン」を学生時代に研究開発、1995年に国内外に報道されましたが、商品化、社会実装できませんでした。難病患者相手、ではメーカーが見向きもしなかったからです。その点で、BMIは難病患者や障害者のためだけではなく、一般の人が有意義に使えるようなシステムとして開発することが重要です。たとえば、車を運転中に人や自転車が飛び出すのが見えた瞬間、自動的にブレーキをかける等は、BMIでこそ実現できます。

 センサーもコンピュータも格段に進歩しています。今後のBMIの実用化、社会実装に期待したいものです。


世界第1号!「ニューラリンクの脳内チップ」でチェスをプレイ!
https://nazology.net/archives/147530
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2024年08月10日

医療介護福祉のカスハラ対策を

 カスハラ(カスタマーハラスメント、客による嫌がらせ、不当な要求や暴言)の被害は、医療福祉の被害率が約30%でトップという、まさかな調査結果がありました。しかも被害者は20〜30代の若手が多く、加害者は40代〜の中高年が多いようです。近年、駅などでの暴力は初老男性が加害者であることが多いと知られていますが、カスハラも同様の傾向があるようです。

 問題はカスハラが信頼関係を破壊しケアを困難にするとともに、被害者職員の転職離職の原因になることです。ただですら離職率が高い医療介護福祉分野では、患者や利用者によるカスハラは、近年問題視されているセクハラと併せて、事業所、管理側が喫緊に対策すべき課題です。

 下記は筆者が2011年に神奈川県藤沢市で新設した訪問看護ステーションの契約書の、ハラスメントに対する解約条項です。契約書に明記すること、それを契約時にきちんと責任者が説明することが重要です。
 また責任者(管理者等)が定期的に・必要時に訪問することで「にらみを利かせる」ことも必要です。男性看護師・介護職も増えているので、ハラスメントする利用者には男性職員を訪問させると、男性には手を出さない場合もあるので検討すべきです。

 筆者は90年代に訪問看護を始めてすぐ、「在宅は密室のケア」という言葉を教わりました。それは「ケア者が悪事をなすこともできる(虐待や窃盗等)」と同時に「利用者がケア者に悪事をなすこともできる」ということです。全ての訪問医療者ケア者は、この言葉を肝に銘じるべきでしょう。


第11条(当所の解約権)
当所は、次のいずれかの場合は14日以上の予告期間をもってこの契約を解除できるものとします。この際、当所は主治医、居宅介護支援事業者等と協議し、市町村等の公的サービスへの連携を可能な限り図るものとします。
1 利用者等が当所や職員に対し故意に法令違反または不法行為、セクシャルハラスメントその他不信行為を為した場合。
2 第9条2項規定の滞納の場合。
3 利用者等から看護計画の承認またはその実施への協力が得られない場合。
4 天災または当所の廃止・休止その他当所の運営上の事由により、当所のサービス提供の継続が不可能となった場合。


カスタマーハラスメントの増加 吉村やすのり生命の環境研究所
http://yoshimurayasunori.jp/blogs/%e3%82%ab%e3%82%b9%e3%82%bf%e3%83%9e%e3%83%bc%e3%83%8f%e3%83%a9%e3%82%b9%e3%83%a1%e3%83%b3%e3%83%88%e3%81%ae%e5%a2%97%e5%8a%a0/
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2024年07月28日

コスパ最高な訪問車とは

 訪問看護や訪問介護では、利用者宅への移動に車を使うことが多いですね。しかし車の購入費、維持費は訪問ケア事業所の経費の中でも、人件費を除いた経費の中で、事務所家賃に次ぐ大きなコストになります。また車検や故障に備えた予備も必要です。
だからと自家用車を使用すると、自動車保険の用途外使用になり、万一事故を起こした場合に保険が使えないことになりかねません。
 そのため、訪問車のコストカット、台数削減は経営的に大きな問題です。

 また近年は地球温暖化の進行抑制のため、EV(電気自動車)化も社会的に言われています。しかし充電ステーション普及がされていない等の問題があります。

 そこで、戦後しばらく普及していた「三輪バイク、三輪自動車」の現代版がヒントになりそうです。

 相模原市のカーター社は、三輪自動車「APトライク」シリーズを発売しています。エンジンは125cc/250ccで三輪ですが、普通自動車扱いで3名乗車可能です。2200mm×全幅1000mm×全高1650mmでキャノピーがあり、小型なので車検も車庫証明も不要、250ccのバイク程度の維持費とのことです。ドアやサイドガラス、エアコン等がありませんが50Km程度の速度は十分出るので、街乗りには十分な性能です。価格はなんと50万円台!

 兵庫県西宮市の桂田モータース・グループは、3人乗り電気自動車 EQV CAMPを発売しています。こちらもスペックはほぼ同様、EVで3〜4時間程度の充電で100Km程度走行可能とのことです。価格は88万円。

 本来制度設計上は、訪問看護ステーション等は半径3〜4km県内、ご町内と周辺程度を訪問エリアとして想定されているようです。でかくて高くい車より、コンパクトで環境にも経営にもやさしい小型モビリティに、在宅医療・在宅ケアで注目し応援、活用していきたいものですね。


約50万円で「3人」乗れる! “公道走行”も可能な「新型モデル」登場! 日常で大活躍する「斬新トライク」はクルマとバイクの“良いとこ取り”!carview!
https://carview.yahoo.co.jp/news/detail/1430b9d9e9587e4998172fb082a17ca2206d5634/

カーター社
https://www.aptrikes.jp/

桂田モータースグループ
https://www.katsurada-group.com/eqvcamp
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2024年07月25日

ボケても「お馴染み」になれる理由

 いよいよ「2025年問題」超高齢化社会本番、団塊世代が後期高齢者入りし認知症もいよいよ社会問題になっています。その認知症ケアでは「なじみの関係」が言われます。馴染みの顔、人、ケア者や物品、場所が認知症の症状を和らげると。その科学的理由、エビデンスの重要な一端が解明されました。

 筆者がちょうど10年ほど前、ある認知症グループホームの統括施設長だったとき。神奈川から外房まで週二回、高速通勤「出稼ぎ」していたのですが。2ユニットに認知症デイ、居宅もあり、人が足りないなんとかしてくれというので山超えてハローワークに赴くことも多く、利用者さんの前には中々出られなかったのですが。それでも出勤日は必ず朝昼夕と各ユニットに顔を出すようにしていました。

 するとある日、一人の入居者のおばあちゃんが「あんた、よく来るねー。名前覚えられないんだけどね」と笑いながら通り過ぎていきました。名前覚えられない。認知症ですから当然。ですが「よく来るね」?? 私の顔を覚えている!?

 そうです、どうやら「覚えている」らしいことが解明されました。

* * *

 筑波大学医学医療系國松淳助教、京都大学ヒト行動進化研究センター網田英敏特任准教授らは、サルの脳に微細電極を差し込み神経活動を測定しました。すると、社会的な関わりの多い親しい人の顔が、物の価値を認識するのと同じ神経メカニズムによって、大脳基底核(特に線条体尾部)という脳の領域で学習されることを見出しました。すなわち、一年以上世話してくれる人と知らない人で脳活動を記録し比較すると、世話してくれる親しい人では、価値の高いものに対し反応するのと同じ部位が反応していました。

 価値の高いものに反応するとは、いわゆる報酬系、例えば赤と白のレバーがあり、赤いレバーを引くとバナナが出てくるが、白いレバーは何も出ない、するとサルなど学習能力がある動物は赤いレバーを「価値あるもの」として認識、学習記憶できます。この部位は視線移動にも関わるとされており、「価値あるもの」を素早く見つけるため「キョロキョロする」ことを司るとされています。

 そして大脳基底核とは大脳が進化する過程で最初にできた部分で、感情や学習特に生存に必要な食欲等の基本的ニーズに関する行動について司ることが知られています。
 つまり「親しい人、優しい人、なじみの人」は「自分にとって価値あるもの」として大脳の最も基軸になる部分で学習記憶される。

 しかし「名前」は言語、記号として大脳皮質で学習記憶される、ところが認知症で壊れるのは大脳皮質、なので名前は覚えられない。

 結果として認知症の人は「本能的に、なじみの人、親しい優しい人は、覚えられる」! 名前という記号はつけられないけど、文字通り顔パスできる!

* * *

 筆者は90年代から認知症ケアに携わり、奇跡と言わずともえっ! というような、周囲も驚くような「成果」を挙げてきました。その理由、10年いやその前から、何か不思議に想っていたことが、ついに科学的に解明されました!

 それは記憶ならぬ情で覚えてる「情憶」とでも呼ぶべき「能力」と言えます。人の顔を覚えられるなら、「価値あるもの」色々なものが「ボケてからでも、覚えられる」それがグループホームさらにはできるだけ自宅で暮らし続けることが、認知症ケアでは症状安定、より良い穏やかな生活につながる、その理論付けとなり、より理論的に認知症ケアを構築していくことにつながるはずです。

「ボケても感情とプライドは残る」と言われます。それは、記号、文字としての言葉を認識できなくなっても、「価値ある人=優しい親切で面倒見てくれて微笑んでくれる人」は認識し覚えられるし、そうでなければ拒絶する、そういうこと、ある意味「人間の本能」と言えるでしょう。

 日常臨床的には。何かと怒ったりブッキラボーな人より、優しくニコニコしてくれる人方が「価値がある」認知症の人に好かれる、覚えてもらえるようになれたら、それは誰にでも「イイ人」きっと仕事やビジネスで成功できそうですね(?)


親しい人の顔を学習する神経メカニズムを解明 | 日本の研究.com
https://research-er.jp/articles/view/134450
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「お口ブクブク」だけで糖尿病が改善!

 口腔ケア、口腔内細菌叢や歯周病が全身疾患と関連することが近年知られてきています。大阪大学大学院歯学研究科口腔全身連関学共同研究講座の又吉紗綾特任講師らは、2型糖尿病患者が一般的な消毒薬クロルヘキシジンを配合したマウスウォッシュを用いてうがいすることで、口腔内に存在する悪性度の高い歯周病菌種が減少するとともに、血糖コントロール状態が改善することを実験で示しました。

 又吉氏らは2型糖尿病患者173名に3か月間「ただの水でうがい」してもらい、その後3か月クロルヘキシジンを配合したマウスウォッシュでうがいしてもらいました。すると、水うがいでは糖尿病の指標HbA1cは変わりませんでしたが、クロルヘキシジン入りマウスウォッシュを使用すると3か月でHbA1cが約1%改善していました。

 他のマウスウォッシュではどうか、歯磨き励行ではどうか、等の疑問はありますが、生活習慣改善は永年の習慣の行動変容となり難しいことが多いことから、より簡便な「お口ブクブク」だけでも糖尿病が改善するならば、有意義と言えそうです。

 また特に入院施設や介護施設では、口腔ケアの重要性が明確に示され、励行が重要ですね。


簡単!うがいでできる糖尿病改善! 薬用マウスウォッシュを用いたうがいによる糖尿病の病態改善 日本の研究.com
https://research-er.jp/articles/view/130997
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2024年05月05日

「かかりつけ医」プライマリケアの現状と問題

 近年国・厚労省が進める「かかりつけ医」について、興味深い研究結果が蓄積できましたので、まとめます。

かかりつけ医を持っている人・いない人の特徴 〜コロナ禍の全国住民調査で社会的要因による格差が明らかに〜
https://research-er.jp/articles/view/126340

東京慈恵会医科大学の青木拓也氏、松島雅人氏らによれば、1,757 人に対する調査(回答率87.9%)で、1,011人(57.5%)がかかりつけ医を持っており、そのうちかかりつけ医が診療所の医師である者は 769人(76.1%)、かかりつけ医が病院の医師である者は 227人(22.5%)。またかかりつけ医が病院の医師である人の特徴として、「男性、慢性疾患あり、健康関連QOLが低い」、かかりつけ医を持っていない人の特徴は「男性、慢性疾患がない、社会的孤立状態にある、ヘルスリテラシーが低い」。

ここから、男性でヘルスリテラシーが低いおそらくは低所得者が医療から取り残されている懸念が伺えます。慢性疾患が無く大きな健康問題が無いがゆえに、日常的に頼れる医療機関が無く、コロナ禍で「ワクチン難民」が発生したことを説明できそうです。

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かかりつけ医の継続的な厚いケアを受けている家族介護者のストレスは低い
https://research-er.jp/articles/view/123181

筑波大学の桝本祥一氏、慶應義塾大学の春田敦志氏らによる406名自宅介護者のストレスについてのアンケートによると、かかりつけ医機能が高いかかりつけ医を持つほど、ストレスが低減する。かかりつけ医機能はJapanese version of the Primary Care Assessment Tool(JPCAT)短縮版、介護ストレスは短縮版Zarit介護負担尺度日本語版を用いて評価した。特に継続性(全人的な人間関係に基づく診療)と包括性(必要なときに幅広いケアや助言を受けられる)が高いかかりつけ医ほど、家族介護者のストレスが軽減されていた。

これはかかりつけ医(療機関)が専門診療のみならず文字通りプライマリーな「幅広い診療、まず相談受診できる」ことや「馴染みの関係性」町内近所の隣人でもあるいわば「町医者」的な関係性が、自宅介護を支えているという見方ができそうです。これは石のみならず看護師や事務員などまで含めて、「顔なじみの関係」あればこそであろうかと思われます。

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コロナ禍における調査で かかりつけ医機能と孤独の度合いの関連が明らかに
https://research-er.jp/articles/view/121803

横浜市立大学の金子淳氏、後藤温氏らによれば、横浜市の20〜74歳の住民1,277名に対するアンケートから、かかりつけ医療機関を持つ人は持たない人に比べて孤独の度合いが低いことを明らかにした。かかりつけ医機能の評価には「患者中心のプライマリ・ケア評価尺度(PCPCM)*2」、孤独の評価には「UCLA 孤独感尺度 3 項目版*3」を用いた。
かりつけ医療機関を持っている方は 55.8%、かかりつけ医療機関がある人は無い人より孤独の度合いが0.34点(12点中)低かった。

 これはコロナ禍中でのアンケートなので、通常よりコミュニケーションが制限された中で、メンタルヘルスにプライマリケアが果たす意義を示しているように見えます。うつ病は障害罹患率が人口の二割とも言われるので、かかりつけ医・プライマリケアがその発見者となる可能性は高いと思われます。言い換えればプライマリケアでは精神科医療との連携接続、リエゾン精神医学の観点が重要と考えられます。

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かかりつけ医機能が高いほどコロナ禍での入院リスクが低下 〜高いかかりつけ医機能を発揮する医師を持つと入院リスクが約 6 割減少〜
https://research-er.jp/articles/view/118494

東京慈恵会医科大学の青木拓也氏、松島雅人氏らによれば、コロナ下の2021年5月?2022 年4月に実施されたプライマリ・ケアに関する全国前向きコホート研究(National Usual Source of Care Survey:NUCS)の7万人のデータから1,161人を対象者として、入院を評価項目として解析したところ、12か月内に87人(7.5%)が入院し、うち、5人 (5.7%)はコロナによる入院だった。723 人 (62.3%)がかかりつけ医を持っていた。Japanese version of Primary Care Assessment Tool (JPCAT)短縮版でかかりつけ医機能を評価したところ、特典が高いほど患者の入院リスクが低下した(オッズ比0.37)。

これはかかりつけ医が全身管理できている、あるいは日常的な健康相談ができる、さらに感染対策やワクチン接種等が適切に行われることが、疾患コントロールを良好にし保健レベルを向上させたと考えられます。

なおかかりつけ医の有無でコロナ入院率がどうか、興味深いところです。

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高齢者のケアの分断を調査 Yokohama Original Medical Data Baseを用いた 横浜市75歳以上住民の全数調査を実施
https://research-er.jp/articles/view/113649

「ケアの分断」なくすには かかりつけ医に期待 へき地医療がお手本に
https://www.47news.jp/8555181.html

横浜市立大学の金子惇氏らは、横浜市医療局医療政策課と連携し横浜市のデータベース(YoMDB)を用いて2018年4月1日から2019年3月31日の間に年4回以上受診した横浜市民の全レセプトデータを解析し、ケアの分断について調査した。対象者は41万3600人、年齢の中央値は81歳、1年間の平均受診医療機関数は3.42か所、最大は20か所、1年間に2か所以上の医療機関を受診した人は全体の85%であり、他国の研究からケアの分断の程度が高いとされるケアの分断指標0.7以上の割合は全体の26.1%であった。 

「ケアの分断」とは香港の研究者が提唱した概念で計算式があるようですが、年間受診数と受診医療機関数から導かれる指数のようです。図2では年に二か所以上受診した人の中の指数分布を示していますが、細分化しての受診医療機関数や受診回数による指数は不明です。おそらく、受診医療機関数が増えるほど指数は悪化すると文脈から推測され、興味深いところです。

これの意味するところは、フリーアクセスによる「病院ショッピング、ドクターショッピング」は実は患者の健康利益を損ねているという相反です。しかも全体の1/4が逆に不適切な日常医療になっている、ということになります。ポリ・ファーマシー多剤併用の害が言われて久しいですが、それ以前の根本的問題としてポリ・ドクターも言われるようです。

高齢になれば内科疾患(基礎疾患)に整形外科的問題、プラス何か、と3科程度の受診は致し方ないところかと実感しますから、例えば5か所以上受診したり、10か所以上ならどうか? それが問題になりそうです。

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在宅療養支援診療所・病院による在宅医療は効果を上げている〜一般診療所より患者の入院が少なく、緊急往診・在宅見取りが多い〜
https://research-er.jp/articles/view/119327

筑波大学の田宮菜奈子氏らによれば、全国のレセプトデータ(NDB)のうち一般診療所1 万3477人、従来型在支診・在支病:6万4616 人、機能強化型在支診・在支病:8万2581 人を含む16万674人の調査から、一般診療所を利用する患者と比べて在支診・在支病を利用する患者は往診が多く、入院が少なく、死亡時に医師の立ち合いを伴った在宅看取りが多い、さらに機能強化型在支診・在支病を利用する患者は往診や在宅看取りがより多い、ことが分かった。

1回以上の入院の調整後オッズ比は、従来型在支診・在支病:0.86、機能強化型在支診・在支病:0.88と有意に少なかった。追跡期間中に死亡した3万9082人(一般診療所:2483人、従来型在支診・在支病:1万4494人、機能強化型在支診・在支病:2万2105人)における在宅看取りの調整後オッズ比は一般診療所比で従来型在支診・在支病:1.46、機能強化型在支診・在支病:1.60、医師の立ち合い在宅看取りは4.81、10.55。

ある意味当たり前ですが、在宅医としての活動を強めるほど、在宅看取りは増える。ただその負担がどうか。必要な学会にすら行けない、という生の声も聴きました。また「死なせること」と「看取ること」は似て非なるものです。かつて筆者は「訪問看護ステーションは初めてですが、初年度一年で100人以上看取りました」と豪語していたところがありましたが、普通に考えて「何もできずに、死なせただけ」ではないかと疑ります。

しかし町に根差した「町医者」が絶滅危惧種!? で「ビル診、サラリーマン開業医」がほとんどの今、そしていよいよ病院のキャパが不足し介護施設での看取りも介護職が減少に転じて難しいにも関わらず要介護者増の今後、看取り難民増加に対しては、「在宅医療、在宅看取り専門クリニック」に頼るほか、なくなるのかも知れません。

これは筆者の思い付きですが。それが嫌なら、地域住民が出資して、志ある医師や看護師を招き集め、「町医者」として日常診療から看取りまで、細く長く、文字通りの「かかりつけ医、主治医」を地域が自ら育む、そんなことを成すべきなのかも、知れません。医療版「ソシオ」でしょうか。

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在宅療養高齢患者さんの在宅死の累積発生率と要因を多施設共同の追跡調査で明らかに!〜在宅療養患者さんと医療者、そして医療政策担当者への基礎的資料を提供〜
https://research-er.jp/articles/view/116397

これはつまり、在宅死、在宅看取り、在宅ホスピス(?)を実現するに必要な条件を示すものです。2019年、日本では個人宅での死亡はわずか13.6%ですが、調査では「自宅で死にたい」希望は7〜8割を示します。このギャップが問題です。

東京慈恵会医科大学の松島雅人氏らによれば、2013年2月1日から2016年1月31日までに東京圏の13施設から在宅医療を受けた762人について、368人が死亡し、うち133人(36.1%)が在宅死だった。在宅療養開始早期は、在宅死が多いが、在宅療養が長期化すると在宅死が減った。在宅死と関連するのは、高齢、ADLが高い、HOT、家族介護者の存在、だった。

これは言い換えると、近年の在宅専門クリニックの増加と、病院での看取り困難により、良くも悪くも「最後は在宅で」という流れがあるとも理解できます。すなわち積極的医療の対象でなければ、家族介護者が確保できれば、在宅死させ得る。

介護保険制度は介護の社会化といいつつ、結局は家族介護力をアテにしていました。老々世帯で老々介護、高齢独居世帯が全世帯の半数の今、介護保険制度の前提がとうに破綻しています。在宅療養期間が長くなると在宅死亡率が下がるのは、介護疲れのためかも知れません。

「在宅療養開始後、初期の段階で在宅死亡の累積発生率が急上昇したのは、在宅で亡くなることを前提に在宅療養を導入した終末期患者のためであると考えられます」の通り、筆者も突然、FAX一枚で「押し付けられた」ガン末期の方を看取った経験もあります。孤独死と言わず、独居で倒れているのを発見、救急要請、でもどうする、蘇生しないなら捨て置く!? 「看取り搬送」も考えなくてはならない、はずの現状です。

「在宅で死なせる」のと「自宅で死ねる」ことは、意味が全く違います。「自宅で死ねる」そのためには、医療側も患者側も家族も、まだまだ為すべきことがあるように思えます。

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 以上、2022年からこれまでの中で特に注目すべきリアルデータ分析結果をまとめました。

 総じて示されたのは、身近に気軽に相談受診できるかかりつけ医機能が高いかかりつけ医が居ること、さらに訪問診療や看取り往診に対応できることが、超高齢化・看取り社会の高齢者のより良い自宅生活、保健と看取りに重要であるということと言えます。その点でプライマリケア医療者は、専門性に特化するのみならず「木を見ず森を見よ、臓器ではなく全身心身を見る」という姿勢と実践が重要になると考えられます。
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2024年04月29日

食中毒対策

201707食中毒.jpg 暖かくなり、食中毒シーズンに入ります。
 食中毒の原因は、食品(に付着した病原微生物)だけでなく、毒性植物を誤って食べたり、化学物質(ハイターなど)を誤って摂取する等、いくつかの原因があります。

 また食中毒は必ず、汚染源つまり病原微生物、それを持ち込んだ者・物、そして感染成立できるまで増殖する時間と温度、が存在します。これらを断つことが食中毒の対策です。

 特に食品については、食品を病原菌で汚染しないよう、手洗いの徹底と調理器具や食器の十分な洗浄乾燥、調理後は早く食べる、保存する場合はできるだけ早く冷やし冷蔵冷凍する、ことが重要です。
posted by 実践研究員その一 at 12:45| Comment(0) | TrackBack(0) | トピックス

2024年02月24日

「アゴラ」記事投稿「神戸徳洲会事件を考える:重箱の隅を突いて救急医療崩壊させてはならない 」


不祥事が続くこちらの病院ですが、だからといって、盲目的延命や不適切な救急車利用を是として、病院や職員を糾弾して良いわけでは、ありません。

我が国医療を蝕む、盲目的延命と不適切な救急車・医療利用、死生観なき医療と生き方こそ、対策の対象たるべきです。

https://agora-web.jp/archives/240223093745.html
posted by 実践研究員その一 at 18:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・制度